家族信託の説明【家族信託】

「家族信託」とは

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自分(親)の財産で自分(親)が利益を得るもので、贈与税もかかりません。
簡単にいえば、「子どもは、全権を持った管理人」になれるのです。
ですから、引き続き親の財産であることに変わりはありません。この点、親に安心してもらうことが大切です。

認知症は生きていても“法的な死”になる

認知症が進み、判断能力がなくなると、重要な法律行為ができなくなります。
そのとき「既に死んでいる」それが「法的な死」と私が呼んでいるものです。
もちろん、正式な法律上の死は肉体の死ですが、あえてわかりやすいように言います。
つまり、「法的な判断ができなくなる日」が訪れると、もう対策はできません。
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認知症になると、親は自分の財産を自由に処分できなくなります。
子供が代わって親の預金をおろすこともできなくなります。
老人ホームに入居した後、空き家になった実家を売却することもできません。

相続後の預金凍結は、遺産分割までの一時のことです。
しかし、認知症になると亡くなるまでの平均10年間、親の財産は凍結されるのです。

もちろん、他の相続対策である生前贈与も、遺言を書けなくなってしまうのです。
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「法的な死」になる確率は高い

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認知症などで「法的な死」になった後はどうなる?

キャッシュサービスで10万円程度なら、暗証番号を知っていれば出せます。
しかし、まとまったお金を窓口でおろそうとすると銀行が認めてくれません。
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そんなときに人気がある老人ホームが「特別養護老人ホーム」(「特養」)です。なぜ人気があるのか?それは入居一時金が不要だからです。

ただし入居には、制限があります。介護保険には要介護度の1~5のランクがあり、特養は要介護3以上が入居要件です。しかし相当進んだ認知症の方でも、自分で動ける人は「要介護1」とされて要件を満たしません。
私の担当した案件でも、自分の名前もわからないのに、歩けるので「要介護1」でした。だから特養に入れませんでした。

次に安いのが「グループホーム」です。ここは、認知症の進行を遅らせる目的で生活をする介護施設です。しかし、症状が進むとここも入居できません。入居できても、入居中に認知症の症状が進むと退去になることもあります。

こうなると、多くは「介護付き有料老人ホーム」しか受け入れてもらえません。
しかし、都市部では高額な入居一時金(平均1000万円)が必要になることもあります。
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負担を減らし、良い老人ホームに入る資金のために、実家を売ろうとしても認知症では契約ができません。

不動産屋さんも司法書士も認めてくれません。
もちろん法務局も登記を受け付けてはくれません。
どうしても認知症になった親の預金を引き出したい、実家を売りたいときには、
どうするか?そのときに、金融機関や不動産屋さんが勧めるのは「成年後見制度」です。

これに基づいて「法定後見人」(弁護士等)を付けるのです。もちろん、費用がかかります。最初に数十万円。月々3~6万円。しかも認知症の親が亡くなるまで。仮に月額5万円なら、年間60万円、10年で600万円!
これは途中で止めることはできません。

自宅の売却については、老人ホームの退去など、万が一のときに戻る所がなくなるので、これには否定的です。特に、預金があるときは、成年後見人の管理のもとで、その預金を使い切らないと自宅売却を認めてくれないのです。成年後見人のケチケチ支出で、預金を使い切るには、数年どころか10~20年かかります。その間に、親に不自由な思いをさせて、預金を使い切る前に親は亡くなってしまいます。まさにアリ地獄です。

しかし、認知症になってしまったら、これを選択するしかなくなるのです。だから、繰り返しますが、認知症になる前に対策をしなければならないのです。

対策をする!
対策をしなかったら・・・
手段 家族信託 成年後見制度(法定後見)
何をするか 生前~死後の財産管理等 生前のみ財産管理等
初期費用 30~100万円程度
(自分ですれば6万円ほど)
30~50万円程度
月々の費用 0円 3~6万円程度
10年間費用
初期費用のみ
390万~770万円程度
デメリット 認知症にならなければ不要
(しかし認知症になる確率は高いし、死因高順位の脳卒中・心筋梗塞や事故で突然意思能力がなくなる可能性もある)
認知症になると財産凍結となり、自由な財産活用ができない。結果的に、実家売却に役立たない。
相続でもめる種を作ったまま、相続対策もできない
メリット 大部分の財産凍結を回避。準備のなかで、相続対策ができ「シンプル相続」につながる
認知症にならなければ不要

空き家の末路

誰も住まなくなった「実家」も大きな問題です。
やがて幽霊屋敷化し、浮浪者が住むなどして、不法投棄・放火の危険も生じます。
そればかりか、台風で屋根が飛び、近所に損害を与えることもあります。

実家を放置していて、管理が悪いと過失責任が問われることもあります。
責任があったとしても、住宅扱いなら火災保険の個人賠償責任特約が使えます。

空き家となると、この特例の対象外となるうえに、保険料が倍になってしまいます。
火災保険も住宅用だから安いのです。最悪の事態では、放火されても保険金がおりないことすらあります。

こうした一連の危険から、2015年2月に空き家法が施行されて、所有者の責任が一層重くなりました。この法律で「特定空き家」に認定されてしまうと、固定資産税が最悪6倍、都市計画税は3倍になってしまいます。
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忙しいあなたが優先すべきこと

親が認知症になる前の今が、余裕ある今が、決断すべきときなのです。
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